「ただいま戻りましたわ。……あら、まだ貴方がたしかいませんの」
気絶した6号を抱えて天城の中枢に帰還したクーリアを出迎えたのは、気を失ったロミアを水晶体に閉じ込めていたディステル達だった。
6号の異変に気付き、ラジョアがそっと側へ近寄る。
「……」
「何をどうしたのか知りませんけれど、暴走しかけていたので回収してきましたの」
呆れながら6号を床へ降ろした彼女の話を聞き、ラジョアは彼の頭に手を添える。
その様を横目で眺めながら、ディステルは6号の状態を視診した。
「その者にかけられた制御術が解けているな。記憶を取り戻しかけている」
「あら、それは可哀想に。誰だか知りませんが無慈悲なことをするものですわね。記憶なんて取り戻してしまったら、きっとこの子の心は壊れてしまいますのに」
演技じみた彼女の言葉に、ディステルはため息混じりに肩を落とす。
そんな彼等をよそに、ラジョアは掲げた手から闇の力を注ぎ込んだ。
「ウ……ウゥ……」
闇がゆっくりと彼を侵食し、やがて6号は穏やかな寝息を立て始める。
その様子をうっとり眺めながら、その場にいたもう一人が笑い声をあげた。
「クフ、フフフッ、あぁカワイソウなコ。いっそのこと完全に壊してあげた方が幸せなんじゃない。アタシがキレイにぶっ壊してあげようかぁ」
「やめろ。今、壊すわけにはいかない。神殺しの業を背負う龍と龍喚士の血を持つ存在から生まれたこの者もまた、鍵と同様に必要なのだから」
(壊すのなら、必要がなくなったその後ですわ……)
二人の会話を聞きながら、クーリアは楽しそうに笑みを浮かべて何も知らずに眠る6号を見つめた。
【関連モンスター】
しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)