ディステルの襲撃後、ニースはリューネの治療を終えたリクウへ問いかける。
「リューネ殿を襲った者が去り際に残した言葉……リクウ殿はその意味がわかったのか」
“行動理由は何一つ変わっていない”
この言葉の意味を唯一理解していたリクウは、沈鬱な表情を浮かべる。
「ディステルは……悪魔と人の血を引く者なのです」
その存在は継界で禁忌とされていた。
どの世界にも属さず、矜持や目的もなく、ただ欲望の為に様々な者へ干渉し滅びへと導く悪魔。
その力を持って生まれたディステルは常に命を狙われながら生きてきた。
そんな彼を救ったのが、人と龍の共存を目指していたリクウの親友だったのだ。
「僕の親友だったあの人だけに心を許し、龍とまで契約し彼の願いを叶えようとしていました。行動理由が変わっていないというのなら、それはつまり全てあの人の為なのでしょう」
龍王と龍喚士によって異空間へと封じられた親友を思い浮かべる。
ディステルはきっと彼を再びこの世界へ戻すつもりなのだ。
「……けれどそれならどうして、還魂の力を必要としたの」
傷つけられた腕に触れながらリューネが疑問を口にする。
彼女の力は魂をあるべき姿に戻すものであり、空間に穴を空けたりできるものではない。
「リクウ殿、その異空間について何か知っている事はないのか?」
ディステルの行動を先読みできれば、打つ手が見つかるかもしれない。
リクウはしばらく考え込み、やがて意を決したように顔を上げる。
「……あの異空間を作り出した者なら、知っているかもしれません。彼女が話してくれるかはわかりませんが、行ってみる価値はあるでしょう」
リクウが示したのは、聖域と呼ばれる地だった。
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しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)