ガランダスを影の中へと押し込み、キリは気を失ったリィを抱き上げる。
「その娘を離せ!」
「黙りなさい龍喚士」
倒れながらも抵抗の言葉を発したラシオスに刃を振り上げた。
しかしそれは直前でティフォンの紫剣によって防がれる。
「……貴方、狂幻魔が話していた滅雷龍の契約者ね」
「君は狂幻魔の仲間か……。リィを離してくれ」
「この子を庇うの? 伝説の星海を襲撃し、龍覚印を奪った龍契士の一人なのに」
「それは彼女の本意じゃなかったはずだ」
「そんな風に言える程度にはこの子と仲良くなったのね。……なら話は早いわ」
キリは氷刃をリィへと近付け、ティフォンとラシオスを見据える。
「この子を傷つけられたくなければ、その場から動かないで」
「貴様……っ!」
リィを人質に取られたのでは身動きが取れず、ラシオスも満身創痍。
どうすることもできずにいる彼等に、キリは静かに告げる。
「リィが持つ龍覚印で必要な力が揃う。狂幻魔の創造する『完全なる魔導書』によって、龍のいない世界が実現する。何者にも邪魔はさせないわ」
「……何故、そこまで龍を憎むんだ」
その問いかけに、キリは表情を変える事無く返答する。
「貴方だって故郷を滅ぼしたイルム達を倒すために行動しているのでしょう。……私も同じことをしているだけ」
彼女の答えに、ティフォンは目を見開いた。
「憎むべき相手が違うだけで、私と貴方にそう違いなんてないのよ」
その言葉を残して、キリはリィと共にその場から姿を消した。
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しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)