かつて獄幻魔が滅ぼした世界で拾った少女、ロミア。
次元の狭間にも容易に入り込む力を持った彼女が、もし鍵の力を受け継ぐ一族の生き残りであったとしたら。
「……ディステルが彼女を狙っているかもしれません」
「じ、冗談じゃないよ!? お姫様に何かあったら僕、ズオー様に滅ぼされる。いやその前に、スカーレットに魔獣の餌にされかねない……。ゴメンねハニー、僕がいなくて寂しくなるだろうけど、すぐに帰ってくるから少しの間だけ我慢してね!」
「全然寂しくないし帰ってこなくていいから早く行って」
顔を真っ青にしながら獄幻魔の居城へ帰ろうとするアーミルの後ろで、リクウも翼を広げる。
「ディステルが姿を現すかもしれません。僕も彼と共に獄幻魔の居城へ行きます」
「承知した。私は各地に散らばっている直属部隊の隊員達を一度集め直し、天城へと向かう」
それぞれが次に向かう先を定める。
そんな中、ミルはそっとリクウの側へ寄って言葉をかけた。
「貴方に伝えなくてはならないことがある」
「……ミル?」
「私を襲った影から漂っていた気配。あれは紛れもなく、貴方達がよく知る人のものだった」
彼女の言葉に、リクウは目を見開く。
「私は聖域から離れられない。だからリクウ、どうか今度こそ彼を止めて。龍を憎み、龍を滅ぼそうとしているのは」
彼女が告げたそれは、リクウが一番聞きたくなかった者の名前だった。
【関連モンスター】
しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)