遠い昔。まだドラゴンフォレストの館が、温かな家族の笑顔で溢れていた頃。
マイネはお世話になっているイデアル達を楽しませようと準備を進めていた。
「イデアル様達をびっくりさせるのです! いっぱいガオーしましょう!」
大きな着ぐるみを被り、手作りのお菓子をバスケットに詰めながら、大好きな人の笑顔を思い浮かべる。
(いっぱい楽しくして、みなさまを笑顔にするのです!)
……けれど。
『オ菓子ダ、オ菓子! 早ク食ベタイヨ!』
『遊びたーい! イデアルさまとヴァンドさま何処かなー?』
『へへっ、オイラがあの坊主にお菓子を渡してやるんだ!』
「わわ!? みんなダメなのです、待ってください~!?」
マイネの準備が終わるのを待てず、いたずら好きのドラゴン達はお菓子を手に飛び出してしまった。
急いで追いかけなければ、せっかく内緒で準備した仮装祭がイデアル達にバレてしまう。
「絶対に捕まえてみせますです!」
マイネは決意を胸に、ドラゴン達を追いかけようと一歩踏み出した。
……動き辛い着ぐるみを着たままで。
「は、はわわわっ!?」
しばらく経った頃。
「ねぇマイネ、チビ達が僕らの所にお菓子を持ってきたんだけど……マイネ?」
「あらあら……」
ニコニコ笑顔のドラゴン達を抱えたイデアルと白いフードの子どもが部屋を覗くと、着ぐるみ姿のマイネが床でぐるぐる目を回しながら倒れていたのだった。
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しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)