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絆の章ストーリーを更新!「6号とイデアルⅣ」「アルトゥラとイデアル」の2話を追加

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絆の章ストーリーを更新!「6号とイデアルⅣ」「アルトゥラとイデアル」の2話を追加
 
ストーリーの絆の章の話が更新された。


 
 
6号とイデアルⅣ
カラン、カランと杖が地面に落ちる音が響く。
大きく見開かれた6号の瞳には、その場に崩れるイデアルが映っていた。
「……」
今見た光景を知っている。覚えている。
(ダッテ……ダッテ、アレハ……“僕ガ”……)
かつて自分が、大切な母を守ろうとした時と同じなのだから。
6号は力を振り絞って地を這い、イデアルに近づいていく。
歪な龍の手が彼女に触れた瞬間、ぴくりとイデアルの指が震えた。
閉じられていた瞼がわずかに開き、6号を見る。
ぽろぽろと涙を溢れさせる小さな子どもに、彼女は小さな笑みを浮かべた。
「……どう、してでしょう……私、貴方を庇っ……わか、らな……。でも……私の、心が……貴方を、守りたい……今度は……今度、こそ……」
本当に微かな声で言葉を絞り出すイデアルに、6号の大きな瞳から大粒の雫が溢れ出す。目の前で零れる涙をぬぐう力もないまま、彼女は目を細めて微笑みを浮かべる。子どもをあやすような、至上の優しさを含んで。
「……ごめ……ね……大、好きよ………………アルトゥラ」
「……オ母サン――ッ!」
 
ゆっくりとイデアルの瞼が落ちる中。
涙を流しながら絶叫する子どもが、動かない彼女の手をぎゅっと握りしめた。
 
 
アルトゥラとイデアル
イデアルを抱きしめた6号の泣き声が周囲に響く中。
レーヴェンは冷たい視線のまま、再び魔導書の魔力を引き出そうとした。
「私の邪魔をするならば、その者ごと排除するまで」
「させぬ! 我が弟子を傷付けた代償、その身が塵となるまで受けてもらうぞ!」
殺気に満ちたエンラが籠の錠を回し、彼女が持ち得る全ての龍を召喚する。
どれも強大な力を有するものばかりだが、レーヴェンは表情を変えないまま、魔導書を龍達の前に掲げて見せた。
「我が前に立ちはだかる存在は、全て滅ぼす」
その一言と共に魔導書が赤黒く光を帯び、エンラの龍達が一瞬にして消滅する。
「な……!?」
カシャンッとエンラが鍵束を落とし、その場に崩れる。
今見たことは現実なのか。全員が目を疑う中、多くの龍を一瞬で滅したレーヴェンは血のように赤い瞳をエンラへと向けた。
「いけない、逃げろエンラ!」
ニースが声を張り上げる。しかし目の前の存在が放つ威圧感と重圧に呑まれ、エンラは身体を動かすことができない。無意識のうちに、カクカクと身体が震える。身体中が危険信号を出すが、逃げることすらままならない。
(……妾も、ここまでか)
視線をレーヴェンから己の弟子とその子どもに向けた。
記憶を封じられた状態でも、その身を犠牲に子を守り倒れた弟子の姿を目に焼き付ける。
「エンラ……っ!!」
「……すまぬのニース。後を頼むぞ、隊長殿」
抵抗も諦めたエンラがそっと目を閉じる。
目前まで迫ったレーヴェンが彼女に向って手をかざした瞬間。
エンラの前に炎の壁が出現した。
「何……?」
「こ、れは……」
燃え盛る炎にレーヴェンが一歩後退る。
誰が自分を助けたのか。動揺したままのエンラは、背後に何者かが降り立つ気配に気付き顔を向けて……目を見張る。
「お、主は……」
自身の目に映るのは、荒々しい龍の形をした炎と大切な母を抱えた6号の姿だった。
 
 
 
身体から溢れ出ていた膨大な力は制御され、強大な龍力が炎となってヴァンドの形を保ち、6号とイデアルに寄り添っている。
「まさか……契約を完全なものにしたのか」
少し離れた場所から様子を見ていたディステルが驚愕する。
彼の問いに答えたのは、他の誰でもない6号自身だった。
「全部思イ出シタ。オ父サンノ事モ……オ母サンノ事モ」
意識を失ったままのイデアルの身体をエンラに託し、彼女達を守るように前へ出る。
その背は、母の後をついて行くだけの臆病だった子どもでも、全てを忘れ植え付けられた憎しみのままに動いていた化け物でもない。
「僕、弱カッタ。恐怖ニ負ケテ、全部忘テシマッタ……。デモ、今ナラ願エル。僕ハ……今度コソ、オ母サンヲ守リタイ!」
『……その願い、確かに聞き届けた』
6号の言葉に呼応し、ヴァンドが炎を滾らせた。
龍が人の願いを認め、互いの魂をつなぎ龍契士となる。
完全な契約を果たした6号……アルトゥラは、大きな龍腕を握りしめレーヴェンへと立ちはだかる。
「オ母サン、死ナセナイ。絶対ニ守ル……。皆デ、マイネ達ガ待ツ、アノ家ニ帰ル為ニ……。皆デ笑ッテ “タダイマ”ヲ、言ウ為ニ……!」
 
 
しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)