ストーリーを更新!閑話「在りし日の職員室」「在りし日の図書室」の2話を追加


ストーリーを更新!閑話「在りし日の職員室」「在りし日の図書室」の2話を追加
 
ストーリーが更新された。

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在りし日の職員室
とある日の夕方。一日の授業を終え各々が放課後を楽しむ中、学園でも人気の教師ヴァレリアは仲の良い姉妹と雑談に興じていた。
「それで、先週の体力テストはうまくいったのか?」
「もちろんです。教官に顔向けできないような結果にはしません」
満面の笑みを浮かべる姉妹の姉ニースに、ミラもくすくすと袖元を口に当てて微笑む。
「お姉ちゃん、すっごく張り切ってたんですよ」
「それはミラもだろう。しかし、遠目でお前のクラスの様子を眺めていたが、あの紫色の髪をした男子は大丈夫だったのか? 100m走で顔面から転がっていただろう」
体育館に移動する際、グラウンドで妹の姿を見つけたニースは、陸上テストで派手に転んだ男子生徒を目にしたのだ。
一緒に走っていた友人らしき青年とミラが慌てて駆け寄り助けていたのを思い出す。
「リエトなら、あの後保健室に連れて行ったわよ。ヴィゴと一緒に走るからってライバル意識出しすぎなんだから……」
その時のことを思い出したのか、ミラはあきれ顔で肩をすくめる。
彼女達の話を聞いて、ヴァレリアは少し思案したと思ったら手にしたマグカップを掲げて宣言した。
「ならば私が奴を特訓しよう。リエトもやるときはやる子だからな、今回うまくいかずとも、きっといい結果を出せる日がくるさ! よし、早速明日、奴を引っ張ってこよう!」
「教官は相変わらず生徒思いですね! そのリエトという男子学生もきっと喜ぶ。ミラもそう思うだろう?」
「そりゃ喜ぶだろうけど、リエトが教官とマンツーマンの特訓なんてずるい。あたしも教官のお手伝いをします!」
「それは助かるな。心優しい生徒をもって私は幸せだ」
 
クスクスと楽し気に笑いながら、三人の雑談は下校時刻になるまで続いたのだった。
 
(リエトの兄ちゃん明日は大変そうだな……)
(が、がんばってくださいリエトさん……!)
(こりゃ面白れぇこと聞いたな、明日冷やかしに行ってやろ)
(やめろよスオウ、大人げねぇな……)
(俺いま子どもだもーん)
 
教師と生徒の他愛ない雑談で男子生徒の地獄の特訓が決まったことを知るのは、机を挟んだ先でうごめく三つの小さな頭だけである。
 
在りし日の図書室
いつもは静かで、たまに少し騒がしい学園の図書室。
しかし今日は、いつもより数倍やかましさが際立つ空間と化していた。
「ちょっとディステル、それは僕が数カ月前から申請してやっと入れてもらった新書なんですけど!?」
「知らんな。この学園の図書室は予約制ではない。故に手にしたものが貸し出しの権利を得る。それより貴様、持っているその本をこちらに渡せ。それは貴様ごときが手にしたところで内容の理解など不可能だ」
「僕だってこれくらい読めます!」
「嘘をつけ、だいたい理解以前に、お前は読み切る前に体力が尽きるだろう。大人しく今月の新刊は私に譲れ」
「そこまで体力無しじゃないですからね!? 先月はしてやられましたが、今月の新刊は絶対に手放しませんよ!」
ギャーギャ―バタバタと騒がしく言い合いを繰り広げながら、本棚から新刊と札のつけられた本を引き抜いていくリクウとディステル。
そんな二人を、レーヴェンとプラリネは少し離れた読書机で本を読みながら眺めていた。
「やー、リッくんもディスくんもスゴイねー。あんなにいっぱいの本、ボクなら絶対に読めないよー。ね、レーくんもそう思うでしょ?」
「そうだな。というか、あの二人も最初はこんな数の本を借りる予定ではなかったんだろうがな……」
リクウやディステルが手にしている本の山の中には、難しい学術書の他にどう考えても子ども向けの童話本などが紛れている。もはや内容にかかわらず新刊とうたわれているもの全てを取り合うつもりなのだろう。
正反対のようでいてどこか似たところがある二人は、昔からどんなことでも『こいつにだけは負けたくない』という意識があるようだ。
「彼等はそうやって反発しながらも、お互いに高め合ってきたのだろう」
「うーん。よくわかんないけど、つまり二人は仲良しってことかな?」
「ああ、そうだな」
今もなお大量の本を抱えながら騒いでいる二人を眺めながら、レーヴェンは柔らかな笑みを浮かべた。
 
「貴方に『それいけアワりん激闘編』の魅力がわかるとは思えませんね!」
「貴様こそ『がんばれホノりん』を描いた作者の意図を理解できるものか」
(……しかしそろそろ止めないと、まずいかもしれないな)
 
レーヴェンの予想通り、二人は騒ぎを聞きつけやってきた図書室の管理者にしこたま叱られ、その後しばらく図書室の利用禁止令を言い渡されることになるのであった。
 
これはリクウ達がまだ学生だった頃のお話。
 
 
しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)