ストーリーが更新された。
『……』
「ねぇディス、アレ何やってんの?」
「……私に問うな」
普段からほとんど言葉を発することなく、無駄な動きもしないラジョアが、なにやらせっせと何かの準備をしている。
(どこから持ってきたのか)炬燵の中で温まっていたロシェは、無言のまま謎の行動に出ている仲間(?)を面白そうに眺めていた。
「真っ白な紙なんかいっぱい用意して、大っきい筆で何するつもりなわけ?」
返事が来ないことなどわかっているだろうに、ロシェがけらけら笑いながら問いかける。
そんな彼女のからかいを気に留めることもなく、ラジョアは準備が整ったのか目の前に置いた紙にむかって、勢いよく筆を振り上げた。
ビシャッと、筆につけられた影ならぬ墨が真っ白な紙に達筆な文字を描いていく。
そうして出来上がったのが――……。
“賀正”
「……書初め?」
「……書初めだな」
ロシェとディステルは目をぱちくりさせながら、どこか自慢げに掲げられた紙を見つめる。
「クフフッ、そういえば新年だもんねぇ」
「だからと言って何故唐突に書初めなど……」
そこまで言って、ディステルはハッと昔の記憶を思い出す。
そういえば昔、レーヴェンが初めて“書初め”というものを体験した際とても気に入っていたような。
『全テヲ墨ニ……』
「クフフ、せっかくだしアタシもやろっかなぁ。ちょっとその筆貸しなさいよぉ」
ヒマつぶしには丁度良いと、ロシェが今もなお書きまくっているラジョアから筆を奪いに向かう。そんな彼女達をどこか遠い目で見つめながら、ディステルは冷めかけた雑煮に手を付けるのだった。
しっかり予習するんだズオ(`・ω・´)